クライアント対談: 日本企業と海外企業が協業するための実践的ガイドー San-Ten Consulting ラルフ・メイヤー氏

Translated by Shiho Baisho

今回は、Saga Consultingのアンソニー・グリフィン氏が、San-Ten Consultingのラルフ・メイヤー氏とクライアント対談を行った日本語翻訳版です。両者は共に日本での外国人企業家として様々な課題について共に議論し乗り越えたビジネスパートナー同士でもあります。

本記事では対談をもとに、

  1. 海外企業が日本市場へ参入する際の留意点

  2. 日本企業が海外企業と協業するメリットとパートナリングの第一歩

  3. 日本企業と海外企業がWin-Winになるためのポイント

  4. 結論:文化理解と仲介者の存在が成功の鍵

という4つの項目から、国境を越えたビジネスの成功の鍵を探ります。本対談は動画版「How Japanese Companies Can Gain a Competitive Edge Through Global Partnerships」もございますのであわせてご覧ください。


1. 海外企業が日本市場へ参入する際の留意点

日本市場は魅力的である一方、参入には独特のハードルが存在します。Santen Consultingのラルフ・メイヤー氏によれば、特にB2B領域では、顧客と接点を持つまでに時間がかかるほか、製品の技術的な説明やカスタマイズが求められるため、商業的な成果が出るまでに4年ほどかかるケースもあるとのことです。

また、日本企業は意思決定に時間を要する傾向があり、海外企業側が「返事が遅い」と感じる場面も少なくありません。こうした文化的な違いを理解し、調整できる仲介者の存在が、円滑な関係構築に不可欠です。

さらに、日本で子会社を設立するには支社としてのオフィスの開設やフルタイムの支社長を配置するなど、100万ドル以上の高額な初期投資が必要となるとラルフ・メイヤー氏は具体的な課題についても言及。ゆえに海外企業は、日本市場に参入する際にはSanten Consulting社サービスのような、代表事務所や専属マーケティング支援など、柔軟かつ低コストである選択肢を活用することが現実的となります。同社のコアミッションは、ディストリビューターと子会社の中間的な立ち位置で、効率的な市場参入を支援することです。

2. 日本企業が海外企業と協業するメリットとパートナリングの第一歩

日本企業が海外企業と協業することで得られるメリットは多くあります。特に、ラルフ・メイヤー氏の母国であるドイツなど中小企業が技術力を支える国々では、「隠れたチャンピオン(Hidden Champions)」と呼ばれる優れた製品を持つ企業が多数存在します。これらの企業はブランド力こそ弱いものの、日本の産業にとって非常に有益なパートナーとなり得ます。これはB2B領域では自動車、医療機器、繊維など、業界に関係なく可能性があります。

協業の第一歩としては、情報収集を行い具体的なイメージを持つことが重要です。日本国内でも活用きる外国商工会議所のウェブサイトやイベント、ニュースレターなどを活用することが推奨されます。また、「Business in Japan」や「Venture Café」、LINK-Jなどのオープンなネットワーキングイベントも、気軽に海外企業と接点を持つ場として有効です。

ただし、協業を成功させるには、文化的な違いを理解し、相互の期待値を調整できる体制が必要です。Saga Consulting社の異文化トレーニングや、Erin Meyer氏の『The Culture Map』のような書籍を通じて、文化的背景への理解を深めることが推奨されます。

3. 日本企業と海外企業がWin-Winになるためのポイント

ラルフ・メイヤー氏は、協業の歩みを進め、Win-Winの関係を築くためには「対等な関係性」と「文化理解」が不可欠だと語ります。前述の「隠れたチャンピオン(Hidden Champions)」であれば、従業員数や売上規模が近く、対等な立場で協業しやすくなります。これにより、大企業や有名ブランドに対して萎縮することなく、実質的な協力が可能になります。

また、文化的な違いを橋渡しできる人材の存在が、誤解や摩擦を防ぐ鍵となります。たとえば、日本企業の意思決定の遅さに対して、海外企業が不安を感じる場面では、間に入る人が「時間がかかるが、確実に進んでいる」と伝えることで、信頼関係を維持できます。

こうした仲介者の役割は、単なる翻訳以上に、文化的な期待値の調整や、相互理解の促進にあります。異文化マネジメントとは、違いを変えることではなく、違いを認識し、尊重し、それを活かして両者が快適に協力できるようにすることなのです。アンソニー・グリフィン氏とラルフ・メイヤー氏は、仲介者が必要不可欠であることについて一致する一方、能力の高い仲介者を見つける方法については一義的な回答はなく、互いの経験をもとに議論が続きます。多くの日本企業が全てのビジネスプロセスを社内で完結する傾向があるため、仲介者等の外部リソースの活用への道のりは定型的なものがなく、前述のネットワークイベントや様々な情報発信の中から見つけなくてはならない現状にあります。つまり、よりよい仲介者を早く効率的に得ることで他社との競争にも勝てる可能性が高まるのです。

4. 結論:文化理解と仲介者の存在が成功の鍵

日本市場への参入、あるいは海外企業との協業において、最も重要なのは「文化を理解すること」です。ラルフ・メイヤー氏が繰り返し強調したように、文化的な誤解は自然に起こるものであり、それを防ぐには経験と理解、そして両者の間に立って調整できる人材が不可欠です。

異文化マネジメントとは、違いを変えることではなく、違いを認識し、尊重し、活かすこと。これこそが、国境を越えたビジネスの成功に必要な視点です。


上の画像をクリックすると、対談インタビュービデオをご覧いただけます。

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